≪はなかつお(かつお節)の測定≫
【目的】
一般的に入手できる「花かつお(トップバリュ インドネシア産 2013年2月)」のCs含有量を知ると共に、密度の低いサンプルの扱いに慣れること。
【サンプル】
「花かつお」(トップバリュ)
原材料 かつおぶし(インドネシア)
製造年月日 2013年2月19日
製造番号 不明
【使用装置】
EMF211型 ガンマ線スペクトロメータ ver.4
【実験方法】
(1) 袋から取り出したのばかりの花かつお(乾燥前)を1800mlマリネリ容器の1000mlラインまで詰め、重さを計る。
(2) 1時間のベクレル測定を行う。
(3) あらかじめ重さを計った花かつおを、ホットプレートを用いてゆっくり加熱乾燥させる。
(4) 乾燥させた花かつおをミルを用いて粉砕し、重さを計る(乾燥・粉砕後質量)。
(5) 乾燥・粉砕後のかつお節を、1800mlマリネリ容器の1000ml部分まで詰め、重さを計る。
(6) 1時間および4時間のベクレル測定を行う。
【結果および考察】
※ それぞれの語句の説明は、こちらをご覧ください。
こちらは、袋から取り出した状態の花かつお100gの写真です。ふんわりと置いた体積は、およそ2500cm3(ml)です。(目盛全長は、30cm)
同じ量を乾燥・粉砕させるとこのようになりました。ふんわり置いた体積は、およそ150cm3(ml)です。
100gの花かつおの、乾燥・粉砕前後の体積と質量は、表1のようになり、乾燥・粉砕することで、質量にして83%、体積(きっちり充填させた場合)にして43%となることがわかりました。
表1 100gの花かつお乾燥・粉砕前後の体積および質量変化
開封直後でも、よく乾燥しているかのように見えるかつお節ですが、20%近く水分を含んでいることが明らかになりました。乾燥させることで粉砕も容易になり、マリネリ容器への充填量を2倍以上に増加させることができました。
袋から取り出したばかりの(乾燥・粉砕前)花かつおの1時間測定結果を図1に示します。
図1 乾燥・粉砕前の花かつおの放射能測定スペクトル(1時間)
充填密度が低いため、ベースラインが不安定で(ギザギザしています)、Cs-134および137のエネルギー値のピークの有無が定かではありません。
乾燥・粉砕後の花かつおの1時間測定結果を図2に示します。
図2 乾燥・粉砕後の花かつおの放射能測定スペクトル(1時間)
カウントレート(同じ時間測定し、どれだけ効率よく信号が得られるか)が向上し、K-40コンプトン散乱によるスペクトル変化(およそ1200keV以下のベースラインの盛り上がり)も確認されますが、ベースラインは、未だ不安定です(ギザギザしています)。
同じものを4時間測定した結果を図3に示します。
図3 乾燥・粉砕後の花かつお放射能測定スペクトル(4時間)
ベースラインの形状はかなりきれいになり(ギザギザか細かくなり)、K-40のコンプトン効果も見られます。Cs-134および137のエネルギー位置に、明確なピークは見られません。装置の検出下限未満です。乾燥・粉砕した花かつおの質量は、もとの質量の83%になっていますから、今回測定した花かつおに含まれるCs-134とCs-137は、乾燥前の質量に換算して、それぞれ装置検出下限の0.6Bq/kgおよび0.8Bq/kg未満であるということがわかりました。
なお、この実験を行うにあたり、座間放射能測定室 稲垣さまに多くのアドバイスを頂きました。感謝いたします。
※ この測定で得られる数値は、機器の特性や環境に影響される曖昧さを含んだもので、絶対値ではありません。あくまでも参考値としてご利用ください。また、他の製品、他のロットのかつお節のCs濃度を保証するものではありません。
足立百恵 記